気づいたらゲーム業界に転職してから7年以上が経過しました。
僕よりも長くゲーム業界で働いている人なんて腐るほどいますし、僕が経験していないことを経験してる人も沢山いると思います。
とはいえ、たかが7年ではありますが、それなりにツライことやキツイことはありました。
これからゲーム業界へ就職しようと考えている人の参考になればと思い、今回は僕が経験してツラかったなぁと感じたことなどを書いていきたいと思います。
※ちなみに僕の職種はエンジニア(プログラマー)です
目次
開発途中でプロジェクトが無くなる
新規開発中のプロジェクトに参画し、メンバーと一緒に頑張って良いものを作ろうと必死に作業していても、ある日突然プロジェクトが無くなることがあります。
理由はケースバイケースですが、売れる見込みがないと判断された結果、プロジェクトが解体されるというパターンが多いです。
『半年もしくは1年といった期間を区切って開発をおこない、その期間内に面白いものが出来なかった場合はプロジェクトは解体する』という決まりが最初からあるなら、とても分かりやすくていいのですが、必ずしもそうではなく、突然プロジェクトが消滅するパターンもあります。
今まで毎日作ってきたプロジェクトが無くなるわけですから、モチベーションはダダ下がりです。
これが原因で会社を辞めた人を何人も見てきました。
必死で作ったものがトップの一声でやり直しになる
製作中のゲームの内容に関して、開発しているメンバーの中では高評価だったとしても、トップがOKを出さない限り作品を世に出すことは出来ません。
ここでいうトップというのは、社長の場合もあればプロジェクトの責任者の場合もあります(とりあえず開発中のメンバーよりは役職が偉い人です)。
妥協しないという精神は大切ですし、中途半端なものよりはクオリティの高いものをリリースしたいという気持ちは完全同意してます。
ただし、なぜOKじゃないのか、NGを出す理由がフワっとしている場合もあり、現場のメンバーが納得できていないときもあります。
非常にモヤモヤしますが、会社に雇われている以上はトップの言うことに従わざるを得ない状況というのもあります。
人の入れ替わりが激しい
ゲーム業界に限ったことではないかもしれませんが、人の入れ替わりは割と激しいです。
1週間前に入社した人が突然来なくなってそのまま辞めてしまうこともあります。
特にクリエイターの方は独特の感性を持っていることが多く、周りとうまく馴染めずに会社に来なくなってしまうというパターンもたまに見かけます。
人の入れ替わりが激しいと作業を教える側も大変だったりするので、悩ましい問題ではあります。
プロジェクト内の人間関係がギクシャクしてる
ゲーム開発をするにあたり、一つのプロジェクトには様々な職種のメンバーが参画することになります。
プランナー、デザイナー、シナリオライター、エンジニア…
この職種の人たちが全て仲良くすることは、実はとても難しいです。
みんな自分たちの仕事が一番だと思って作業しているので、自分以外の職種に対する敬意を持てるかどうかというのが、非常に重要になってきます。
相手への敬意を持てなくなってしまうと、なにかトラブルがあったときに自分以外の人のせいにしてしまうようになります。
例えば思ったように売上が上がらなかったとき、
- プランナーの意見:デザインのウケが悪かったのかも?
- デザイナーの意見:ちょっとバグ多すぎじゃないの?
- シナリオライターの意見:バトルの仕様複雑すぎて理解できないよ?
- エンジニアの意見:シナリオつまらないんじゃないの?
といったように、他人に責任をなすりつけあうという最悪な状況になることもあります。
プロジェクト内の人間関係が良好であれば、自分の担当している範囲の部分について、「もう少し良いものが作れないだろうか」と建設的な考えになるのですが、人間関係がうまくいっていないだけで、どんどんネガティブな方向へいってしまいます。
この状態になってしまうと、関係性を修復するのは困難になってしまうため、人員を入れ替えたりすることもよくあります。
リリース前はデスマーチ
ゲームに限らず、システム開発などでも一緒だと思いますが、リリース前はデスマーチになりがちです。特にエンジニア。
企画やデザインなどのコンテンツがあって、それらを組み合わせて動かしていくのがエンジニアの仕事です。
結局エンジニアの仕事が完了するのは一番最後になるので、結果的に本番リリースギリギリまで追い詰められてしまうということになります。
デスマーチを経験したことがある人なら分かると思いますが、定時を過ぎてから本番です。
周りの人がどんどん帰宅していくので、オフィスの中は昼間よりも静かになり、集中力は加速していきます。
売れると思って作ったのに売れない
開発中は「これは売れる…絶対売れるぞ…!」と思って作っていたのに、いざリリースをしてみると全然売れなかったということは多々あります。
ゲーム作りは、開発期間が長い割に成果が報われないケースもあります。
作っている側からすると、自分が関わったゲームはメガヒットになって欲しいものですが、なかなかそうもいかず。
人によっては参画したプロジェクトがことごとくヒットせずに悔しい思いをしている人もいます。
ユーザーからのクレームに心が折れそうになることも
日々、ゲームを遊んでくれているユーザーから運営へメッセージをいただくことがあります。
その中には「お客様、それはちょっと言い過ぎではないでしょうか…」と思ってしまうようなコメントもあります。
すべてのユーザーに満足していただけるのが一番良いのですが、なかなかそういうわけにもいかず、一部の人からは反感を買ってしまうことは避けられません。
ユーザーからのあまりにも攻撃的なメッセージを見てしまうと、心が折れそうになることもあります。
意見はしっかり受け止めつつも、深く悩みすぎないようにすることが大切だなと日々感じています。
もちろん楽しいこともあるよ
ここまでゲーム業界で働く上でツラかったことを話してきましたが、もちろん楽しいことも沢山あります。
楽しいことがないとなんのためにゲーム開発をしているか分からないですからね。
ユーザーから感謝される
「今までやったゲームの中で一番面白いです!」
とか、
「是非アニメ化してください!」
といった温かい言葉をもらうと、あぁ…このゲーム作って良かったなぁ…と心の底から思います。
誰も遊んでくれないゲームに価値はありません。
ゲームをプレイしてくれるだけでもありがたいのに、こうやってメッセージまで頂けるのは本当に嬉しい限りです。
「ユーザーに喜んでもらえるためにもっと良いものを作ろう!」という気にさせてもらえるので、感謝感謝です。
制作が楽しい
始めは頭の中で想像していたものが、徐々に形になって一つの作品として出来上がっていく過程は、作っていて最高にワクワクします。
仕事をしている時間は人生の中でかなりのウェイトを占めていますので、いかに楽しい仕事をするかというのは、とても大事なことのような気がします。
もちろん楽しいだけではありませんが、作り終わったあとの満足感は非常に高いので、ゲームを作った経験がない人は一度作る側になって体験して欲しいなと思います。
各分野のオタクが沢山いる
ゲーム会社で働いている人の多くは『オタク』であることが多いです。
一言にオタクといっても広すぎるのですが、アニメ・漫画・ゲーム・コスプレ・音楽など、ある特定の分野に関してものすごく詳しい人たちが集まってたりします。
ですので自分が知らない分野に対しての視野がすごく広がります。
そんな世界があったのかと思うことも多く、とても勉強になるので色々な趣味を持った人がいる現場というのは非常に面白いです。
髪型・服装自由
これは会社によるかもしれないのですが、基本的にゲーム会社で働いている人は見た目なんでもOKなことが多いです。
ガチガチのシステム開発をしているエンジニアであれば、スーツを着て髪型もある程度は整えて…といった規則がある会社もあると思いますが、ゲーム会社はかなりユルイです。
服装に関しても、夏は半袖・短パン・サンダルといった人も沢山いるので、ビシッとした服装で働くのが苦手な人にはかなりおすすめできる環境です。
まとめ
仕事である以上、当然イヤなこともあればイイこともあります。
ただ、ゲームというエンターテイメントは、今や人々の生活に無くてはならない存在だと思いますので、仕事のやり甲斐はとてもあります。
『ゲーム業界=ブラックな働き方』というイメージが強いかもしれませんが、最近は働き方改革の影響ですごくクリーンな環境になっているので、個人的にはかなりおすすめな仕事だと思います。
僕も含めてゲーム業界にいっさい関係なかった仕事をしている人たちが転職してくる世界ですので、少しでも興味があれば一度ゲーム会社で働いてみてはいかがでしょうか。